非ゴム系の材料でありながら、汎用的に用いられているパッキンの1つとして、ノンアスベストパッキンがあります。今回はノンアスベストパッキンについて、特徴、用途、加工方法などを解説していきます。
ノンアスベストパッキンの特徴・用途
ノンアスベストパッキンは、その名のとおり、アスベストを含まないパッキンのことです。
アスベストは、かつて「奇跡の鉱物」と呼ばれて多岐にわたる製品に使用されていましたが、健康への悪影響が明らかになったことで2006年には使用が全面禁止されました。それを受けて、各メーカーはアスベストよりも安全なノンアスベストジョイントシートの開発に乗り出し、現在ではアスベストを一切含まない製品「ノンアスベスト」が広く流通するようになりました。
ノンアスベストの代表的な製品として、日本バルカーの商標でもある「ノンアス」などがあります。
ノンアスベストパッキンは、アスベストを利用せずに、繊維材料、充填剤、ゴム、およびゴム配合薬品を混合し加熱ロールで圧延してできるシート状の素材から作られています。
ノンアスベストパッキンの代表的な特徴は、以下4つです。
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厚紙を圧縮したような感触で、固い弾力のない紙を固めたような質感になっている
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色や性能に多彩なバリエーションがあり、青、赤、黒などの色が存在する
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防食性、耐熱性、強度を高める特性のものもある
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ゴム系のパッキンに比べるとシール性は劣るものの、面での密着性が高いため、ねじれに対しては強い
ノンアスベストパッキンは、水道配管などで使われるフクロナット用のパッキン(ガスケット)として使用されたり、フレキパイプ、ニップル、ユニオンなどの接合部に使用されたりしています。耐熱性の高さを生かして、家庭用給湯器や洗面台したの給湯管でも利用されているほか、産業用途でもさまざまな用途で活用されています。
ノンアスベストパッキンの耐熱温度
メーカーのカタログによると、ノンアスベストパッキンは家庭用のものだと95℃程度、産業用の高温仕様だと650℃まで耐えられるものも見られます。ただし、実際の耐熱温度は圧力や使用する流体の性質によって異なるので、メーカーのカタログに記載されている数値だけで判断せずに、使用条件にあわせて最適なパッキンを選択するようにしましょう。
また、耐熱温度の高いノンアスベストシートはそれほど普及していないので、使用する際には値段が高く納期が長くなってしまうことにも注意しましょう。
ノンアスベストパッキンとアスベストパッキンの違い
ノンアスベストパッキンとアスベストパッキンの違いは、物理的にはアスベストの有無ですが、特徴にも差異があります。アスベストパッキンは、広い用途で使われているのと同時に、取り扱い方法もきわめて容易であったことから万能パッキン(万能ガスケット)として知られていました。
一方でノンアスベストパッキンは、アスベストのような健康被害への影響はないものの、アスベストよりも性能や汎用性が劣り、コストが割高であることが知られています。
ノンアスベストパッキンの主な加工方法
ノンアスベストパッキンの主な加工方法として、以下3つが挙げられます。
抜き加工
抜き加工とは、刃物をつけた抜き型でシート状の材料を打ち抜く方法です。金型は不要で、木型(ビク型)などの安価な型で大量に生産できるメリットがあります。立体的な加工は無理で、二次元の加工しかできませんが、平面的な形状や穴あけ程度であれば、抜き加工でも実現可能です。
シャーリングやスリッター、カッターやポンチなどによる手加工
シャーリングやスリッター、カッターやポンチなどを使って手加工する方法です。
カッティングプロッター加工
カッティングプロッター加工とは、CADの図面どおりに刃物が動いて、板状の品物に切っていく加工方法です。型代を必要としないことがメリットで、20個未満程度の小ロットでカットするときに適した方法です。
ノンアスベストのジョイントシート
ジョイントシートは、各種無機繊維、無機充填剤、ゴムなどを配合して成型したガスケット用シートです。
かつてはアスベストガスケットが使われていましたが、アスベスト使用禁止後は、ノンアスベストジョイントシートが使われます。
東京機革では、木型(ビク型)による抜き加工、ポンチによる抜き加工、カッティングプロッタによるカット、場合によってはカッター、タガネを使った手加工などで製作しています。
その他の素材については下記、ご参照ください。
・日本バルカー工業ノンアスベストシート
V6500の打ち抜き加工品です。
・V6500加工品
スリーボンド スリーシート201S打抜き加工品
・V6502加工品
石油精製、化学、船舶など各種産業の耐熱性を必要とする配管フランジ、弁ボンネット、各種機器のカバーの接合面ガスケットとして適しています。
・ニチアスジョイントシート
T1120打抜加工品
・スリーシートパッキン
210S 打抜加工
・ニチアス
T1995 19X10.5X1.5
・ニチアスT1993
10KRF125A 3t
・アームストロングTS9016
0.8打抜き加工品
・日本バルカー
VF300
・サーミキュライト#715
高温高圧下の石綿代替品として有力です。
日本バルカー工業株式会社、ニチアス株式会社、米国アームストロング社等、各社のジョイントシートの加工をしています。
ジョイントシート関連につきまして、詳しくは下記ご確認ください。
>>ジョイントシート関連(ノンアスベストパッキン)はこちら
まとめ
さまざまな用途で活躍するノンアスベストパッキンですが、加工の際には形状や用途にあった加工方法を選択する必要があります。
ノンアスベストパッキンの加工先をお探しなら、昭和8年創業の加工のプロである株式会社東京機革までご連絡ください。
東京機革では日本バルカー工業株式会社、ニチアス株式会社、米国アームストロング社等のノンアスベストシートを加工した実績が多数あります。短納期・小ロットであっても可能な限り対応してまいりますので、まずは電話(03-2623-0111)、FAX(03-3621-1923)、または以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
さまざまな加工方法の中から最適な組み合わせをご提案いたします。
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