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シリコンパッキンの加工【どのくらいで劣化する?】

2023/05/20



シリコンパッキンは、シリコンの性質を生かしてさまざまな用途で活躍しているパッキンです。今回は、シリコンパッキンの特徴・用途、メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。
 

シリコンパッキンの特徴・用途・メリット・デメリット

シリコンは半有機合成ゴムで、ケイ素と酸素原子の鎖によって形成されている材料です。シリコンには、この構造ならではの特徴があります。
 

シリコンパッキンの特徴・用途

シリコンパッキンは、シリコンゴムを材料としたパッキンのことです。シリコンゴムは、耐熱性や耐寒性に優れていることから、高温・低温の環境下でも使用できる材料です。また、耐油性や耐薬品性にも優れているので、幅広い用途でパッキンの材料として活用されています。

 

シリコンパッキンのメリット

シリコンパッキンのメリットとして、以下2つのことが挙げられます。

 
  • ・化学的安定性が高い

  • ・食品・医療品に適合できる材料である

 

化学的安定性が高い

シリコンパッキンは、その優れた耐熱性・耐寒性・耐油性・耐薬品性から、多少の環境変化があっても化学的に安定しているので、幅広い用途に汎用的に活用できます。耐熱性に関しては300℃以上の高温に耐えられるコンパウンドがある一方で、-100℃でも柔軟性を損なわない特徴があります。

 

食品・医療品に適合できる材料である

シリコンゴムは無孔質であるため、材料に細菌が繁殖しにくくなっています。加えて無毒なので、食品・飲料用途や医療分野で衛生的に利用可能です。

 

シリコンパッキンのデメリット

シリコンパッキンのデメリットとして、以下3つが挙げられます。

 
  • ・引き裂き強度が低い

  • ・コストが割高になる

  • ・黄変する

 

引き裂き強度が低い

シリコンパッキンは、引き裂き強度が他のゴム材料に比べて低くなってしまいます。他の成分を加えることで多少の改善はできるとはいうものの強度の大幅アップは難しいので、用途によっては利用が難しいケースもあります。(ただし、引き裂き強度が低いという欠点を補いたい場合は、メーカーによっては高引裂シリコンという選択肢もあります。例:十川ゴム製高引裂シリコーンゴム材料

 

コストが割高になる

シリコンゴムはゴム素材の中では高級素材になるので、シリコンパッキンも他のゴムパッキンに比べて割高になってしまいます。

 

黄変する

シリコンゴムは、中に含まれる加硫剤やコンパウンド内の添加物などが反応したり、潤滑油や薬品、ガスなどが吸着したりして、よく黄変することがあります。ただし、あくまで見た目の変化だけなので、黄変してもシリコンの持つ特性そのものには変化はありません。
 

シリコンゴムとその他の合成ゴムとの違い

シリコンゴムと石油系などの合成ゴムとの大きな違いは、先ほど書いた点を踏まえて、以下の点になります。

 
  • ・耐熱性・耐寒性に優れていること

  • ・耐油性・耐薬品性にも優れていること

  • ・化学的安定性が高いこと

  • ・食品や医療分野でも使用されるほど衛生的で安全性が高いこと

 

一方で、石油系の合成ゴムは種類が豊富なので、用途にあわせてさまざまな種類を選択可能です。たとえば、エチレンプロピレンゴム(EPDM)は、特に耐候性に優れているので屋外での使用に適しています。また、ニトリルゴム(NBR)は、耐油性に優れているので石油製品や機械油などの使用に適しています。
 

シリコンゴムとその他の合成ゴムとの違い

シリコンパッキンは耐久性・耐候性に優れているので、酸化などの自然劣化はほとんど目立ちません。また耐熱性・耐油性にも優れているので、熱や油などの外的要因による劣化にも耐えられます。用途や環境によって耐用年数・劣化年数は異なりますが、一般的なシリコンゴムの耐用年数は、120℃だと20年以上、150℃でも5年以上の寿命(伸び残率50%を保持する期間)があるとされています。

 

シリコンパッキンの主な加工方法

シリコン板として流通している規格品として、標準硬度の場合だと50度で白色半透明、70度が不透明のグレーがあります。ただし、どちらも乳白と表現されることがあるので要注意です。他には50度の赤シリコンもあります。なお、Oリングで使われる場合は標準硬度50度、70度はグレーで、赤シリコンは70度です。

 

シリコンパッキンを作るための主な加工方法として、以下5つを解説していきます。

 
  • ・プレス加工

  • ・抜き加工

  • ・切削加工

  • ・シャーリングやスリッターなどの手加工

  • ・カッティングプロッター加工

  • ・押し出し加工

  • ・巻蒸し

  • ・ライニング

 

プレス加工

プレス加工とは、金型にシリコンゴムコンパウンドを入れ、加硫して(熱を加えて)、上下からプレスして成形する方法です。金型の形状を工夫することで複雑なパッキン形状にも対応できるメリットがあります。金型が高価になるので、切削やカッティングプロッタに比べると相応の生産量が必要になりますが、生産量がまとまるとコストメリットの出る加工方法です。
 

抜き加工

抜き加工とは、刃物をつけた抜き型でシート状のシリコンゴムを打ち抜く方法です。金型は不要で、木型(ビク型)などの安価な型で大量に生産できるメリットがあります。立体的な加工は無理で、二次元の加工しかできませんが、平面的な形状や穴あけ程度であれば、抜き加工でも実現可能です。
 

切削加工

切削加工とは、板材から削り出して加工する方法です。切削加工は形状を比較的自由に作れるメリットがあるものの、一般的にコストのかかる加工方法です。しかし、形状やロットによっては、他の加工方法よりも切削加工の方がコスト面で有利な場合があります。特に1個から製作するような極小のロットだと、切削加工での対応がおすすめです。
 

シャーリングやスリッターなどの手加工

シャーリングやスリッターなどで、直線的に加工する方法です。
 

カッティングプロッター加工

カッティングプロッター加工とは、CADの図面どおりに刃物が動いて、板状の品物に切っていく加工方法です。型代を必要としないことがメリットで、20個未満程度の小ロットで薄いシート状のシリコンゴムをカットするときに適した方法です。
 

押し出し

押し出しは、シリコンの材料を口金(穴の空いた金属片)に通して、ところてんのようなイメージで押し出すことによって形状を作る方法です。丸や四角などさまざまな断面形状を押し出して形成できます。

 

巻蒸し

巻き蒸しは、マントルと呼ばれる金属の芯棒にシリコンを巻き、外側に布を巻き付けて蒸気で加硫する方法です。機械加工では不可能な長さの肉厚の薄いパイプを作る際に用いられます。

 

ライニング

ライニングは、金属のロールなどにシリコンを貼り付けて加硫し、外側を仕上げる加工方法です。芯のロールにサンドブラストしてゴムを巻いて仕上げ加工するという3段階の工程を必要とするので、納期は長めになります。

 

まとめ


耐薬品性、耐熱性、食品・医療品への適合性に優れたシリコンゴムですが、加工の際には形状や用途にあった加工方法を選択する必要があります。シリコンゴムの製造・加工先をお探しなら、昭和8年創業の加工のプロである株式会社東京機革までご連絡ください。短納期・小ロットであっても可能な限り対応してまいりますので、まずは電話(03-2623-0111)、FAX(03-3621-1923)、または以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。さまざまな加工方法の中から最適な組み合わせをご提案いたします。



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