パッキンの形状や種類【特徴や用途を解説】

2023/04/28

パッキンは、回転軸部分の漏れ止めや、ピストンなどの往復運動するところの漏れ止めとして使われるシール材です。たとえば、動力シリンダーや油圧機器など駆動部分をシールする目的で使われています。パッキンには、用途やシール性に応じてさまざまな形状があります。今回は、パッキンの形状や種類について解説していきます。

 

パッキンの分類表

パッキンを大きく分けると、回転用と往復運動用に分類できます。回転運動用のパッキンには接触型と非接触型があり、往復運動用にはリップパッキン(リップによるシールをするパッキン)とスクィーズパッキン(つぶし代によるシールをするパッキン)があります。パッキンの分類を一覧にすると、下表のようになります。

 

回転運動用 接触型 オイルシール、メカニカルシール、グランドパッキンなど
非接触型 ラビリンスシール、ビスコシールなど
往復運動用 リップパッキン(リップによるシール) Uパッキン、Vパッキン、Lパッキン、Jパッキンなど
スクィーズパッキン(つぶし代によるシール) Oリング、Xリング、Tリング、Dリングなど
 

回転運動用のパッキン

ここからはそれぞれのパッキンについて解説していきます。まずは回転運動用のパッキンです。回転運動用のパッキンは、回転する部品と固定されている部品の間で、気体や液体の漏れを防ぐシールとして使われるパッキンです。

回転運動用の接触型パッキンの例としては、オイルシールやメカニカルシールなどがあります。オイルシールは、金属製のケースにゴム製のリップを取り付けたもので、主に油圧装置や自動車などで使用されます。メカニカルシールは、2つの面を密着させてシールするもので、ポンプやタービンなどで使用されます。

接触型パッキン

接触型パッキンは、文字通りパッキンが接触することによってシールをするタイプです。摩擦や摩耗による劣化はあるものの、高圧や高速などの条件にも対応できるのがメリットです。
 

オイルシール

オイルシールとは、回転軸の表面に押し付ける力を加えるバネ、機械内部からのオイル漏れや機械外部からの異物進入を防ぐリップ、機械本体にオイルシールを固定するための補強環によって構成されたパッキンのことです。
 

メカニカルシール

メカニカルシールとは、ばねなどによって軸方向に動くシールリングと、動かないメイティングリングから構成されたパッキンのことです。2つのリングの軸に垂直な摺動面がお互いに接触し、相対的に回転することによって、流体の漏れを最小限にする働きをしています。メカニカルシールは、動力損失や熱の発生が少なく、漏れを最小限にできます。
 

グランドパッキン

グランドパッキンとは、バルブやポンプの回転軸部分と固定部分の間にあるスタッフィングボックスと呼ばれる場所に挿入し、パッキン押さえで締め付けて内部の流体をシールするパッキンです。グランドパッキンの中で最も一般的なものはブレードパッキン(編組パッキン)で、八つ編み、袋編み、格子編みなどの編み方があります。

 

非接触型パッキン

非接触型パッキンは、シール面における摩擦が生じないため、回転トルクを小さくできることがメリットのシール方法です。一方で、非接触になっているので、接触型に比べると油やグリスが漏れやすく、外部からの防塵性も落ちてしまうことがデメリットです。
 

ラビリンスシール

ラビリンスシールは、機械の回転軸とハウジングの間でシールをするパッキンです。ラビリンスには迷路という意味があり、シールの構造が迷路のような流路になっていて、外部からの異物侵入や内部の気体や流体の漏れを防止することからラビリンスシールと呼ばれています。ラビリンスシールには、ラジアル型とアキシアル型などがあります。
 

ビスコシール

ビスコシールは、回転軸やハウジングの表面にねじを設けて、流体を加圧してシールする非接触形のシールです。オイルフリースクリューコンプレッサーなどで使われており、油漏れや油の浸入を防げるようになっています。

 

往復運動用のパッキン

往復運動用のパッキンは、ピストンとシリンダーとの間などで使用され、空気圧や油圧でピストンを押し出す際に空気や油の漏れを防ぐのに使用されます。ここでは、代表的なリップパッキンとスクィーズパッキンについて詳細を解説していきます。
 

リップパッキン

リップパッキンとは、シール部の形状が唇(リップ)の形をしているパッキンのことです。液体や気体の圧力がかかると、リップの先端部分には流体以上の圧力がかかって往復運動の摺動面に密着し、その密着力によって漏れを防止します。

Uパッキン(溝型)

Uパッキンとは、断面形状がU字形(溝型)をしたリップパッキンで、Uリングとも呼ばれています。リップパッキンの中では最も多く使用されているパッキンで、油圧シリンダーやエアーシリンダーなどでよく使われています。

 

Vパッキン(山型)

Vパッキンとは、断面形状がV字形(山型)をしたリップパッキンで、Vリングとも呼ばれています。Vパッキンは、油圧シリンダー用のパッキンとしてよく使われています。

 

Lパッキン(腕型)

Lパッキンとは、断面形状がL字形(腕型)をしたリップパッキンで、カップパッキンやCパッキンとも呼ばれています。

 

Jパッキン(帽子型)

Jパッキンとは、断面形状がJ字型(帽子型)をしたリップパッキンです。Jパッキンは、Lパッキンと同様に偏心・振れへの追随性がよく、低油圧や空気圧用途で用いられます。LパッキンとJパッキンは似た形状をしていますが、外側にリップがあるのがLパッキン、内側にリップがあるのがJパッキンです。断面だけみると見る場所によってLパッキンにもJパッキンにも見えるので注意しましょう。
 

 

スクイーズパッキン

スクイーズパッキンとは、ゴム状のものを相手物に圧着しつぶして使うパッキンのことです。

 

Oリング

Oリングとは、断面形状がOの形(円形)をしたリング状のスクイーズパッキンです。多くの油圧・空圧機器での利用をはじめとして、スクイーズパッキンの中で最も汎用的に使われています。Oリングは、往復運動だけでなく水道ホースのような固定用のシール材としても使用されるため、パッキンでありながらガスケットの一種にも分類されています。

 

Xリング

Xリングとは、断面形状がXの形をしたリング状のスクイーズパッキンです。粘性駆動伝達装置のほか、Oリングよりも高度なシール性が必要となる場所で使われるパッキンです。

 

Dリング

Dリングとは、断面形状がDの形をしたリング状のスクイーズパッキンです。DリングはOリングに比べて、ねじれにくく、つぶししろが小さくてすむというメリットがあります。

 

まとめ

パッキンには用途に合わせて数多くの種類があり、形状やシール構造もさまざまです。機械部品を設計する際には、最適なパッキンを選択する必要があります。もしパッキンの加工にお悩みなら、昭和8年創業で加工のプロである株式会社東京機革までお気軽にお問い合わせください。オイルシールやOリングなどさまざまなシール材について、豊富な加工実績を誇っています。まずはお電話(03-2623-0111)、FAX(03-3621-1923)、またはお問い合わせフォームからご相談ください。お客様のニーズにあわせて最適な加工方法をご提案いたします。短納期・小ロットであっても可能な限り対応してまいります。

 

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