在庫はありません。標準寸法は特にありません。お客様に寸法を指定していただきます。
小さいものについては手持ちの型がない場合、製作が可能なものについては一回限りの治具を製作してご指定通りの寸法で製作することになります。特殊な寸法のものですと製作不可能な場合もあります。
ある程度大きいものになりますと、一回限りの治具を作るというようなことが出来ません。
つまり手持ちの金型の寸法で製作することしかできません。ある程度大きいものでU型やV型、J型の金型がないものはほとんど製作不可能です。
L型については手持ちの金型を組み合わせて製作が可能な場合もあります。しかし殆どの場合ご指定の寸法ぴったりには出来上がりません。
弊社の革パッキン用金型の大きなものは基本的にはインチ寸法でできています。つまり外径については3.2ミリおきにしかありません。
ある程度近い寸法の型で製作することになります。2ミリ程度寸法が違う型で製作する場合も出てきます。
また、牛の皮という天然の材料を使っているため材料の物性は一枚づつ違います。同じ条件で製作しても同じものができないことがあります。寸法のばらつきが発生することもあります。
革パッキンはゴムと違い柔軟性があります。
多少寸法が違ってもひとたび油圧機械に組み込んで圧力をかければシリンダーの寸法になじんで問題なく使えます。
ただ、多少寸法が違うものを組み込むためには現場で少し工夫が必要な場合もあります。
パッキンの寸法が大きい場合、機械油に浸して柔軟にして傷をつけないように押し込むことになります。パッキンの寸法が小さい場合必要に応じてパッキン剣先部がシリンダー内面に接触する力を大きくする目的でリングパンダや押さえ金等を使用するといった方法があるようです。
かつてはそのような事情をユーザー様の工場の現場の方がよく理解されていて、工夫して使用されていましたが、最近ではそのような方が少なくなったようです。図面もゴムの特徴を前提にしたような形状や寸法公差を記載したものが多くなりました。寸法が違っていて取り付けられないとか受け入れ検査を通らないというような事が起こるようになりました。
中には、何十年も同じ製品を納めているのに突如として受け入れ検査が厳しくなって不合格となるケースもあります。
そのたびに、革はゴムとは特性が違うこと、寸法精度がゴムの場合よりラフでも使用に差し支えないということを説明させていただくのですが、ユーザー様との間に何軒も商社が入っている場合が多くなかなか理解していただけない事もあります。
かつてのように数量がたくさん出るのであれば専用の型をつくればある程度は解決できるのですが、今はもうそういう時代ではなくなりました。既存の汎用の型を使ってご希望の寸法に近い製品を作ってそれを工夫してなんとか使っていただく必要があります。
近い寸法の型がまったくない場合、特殊な形状の場合などは残念ながら製作することはできません。受注を辞退することになってしまいます。