フッ素樹脂について

このサイトをご覧になった方からフッ素樹脂(いわゆるテフロン(R))についてのお問い合わせを頂く事がよくあります。よく頂く御質問をここでまとめてみました。

1.名称

1.名称

工業用素材としてテフロンという名前で呼ばれて流通していますが、本来テフロンという言葉はデュポン社の登録商標です。
そのため、他のメーカーが製造する同様の素材は異なる名称で呼ばれることが多いです。一般名称としては、日本語、英語、略称と様々な表現が用いられており、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、四フッ化エチレン樹脂、4Fなどがあります。

フッ素樹脂という言葉はPTFE、PFA、FEPなどいくつかの樹脂の総称ですが実務の上ではPTFEを指すこともよくあります。PTFEは、その優れた特性から多くの用途で利用されています。

さらに、各素材メーカーは独自のブランド名で製品を製造・販売しています。
たとえば、日本バルカー工業は「バルフロン」、ニチアスは「ナフロン」、淀川化成は「ヨドフロン」、アスクは「アスクフロロ」といった具合です。
ただし、アスクは現エーアンドエーマテリアルとなり、現在はPTFEの製造を終了しています。

なお、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は化学的な名称ですが、一般的には「テフロン」と呼ばれることが多いです。
また、四フッ化エチレン樹脂という表現は、日本語での説明に用いられることが一般的で、略称の「4F」は特に技術的な文書や会話で頻繁に使われています。

2.フッ素樹脂の主な性質

2.フッ素樹脂の主な性質
フッ素樹脂の主な性質として、以下4つが挙げられます。


●耐薬品性
●耐熱性
●低摩擦係数
●非粘着性

 

耐薬品性

フッ素樹脂は、現存するプラスチックの中でも最も優れた耐薬品性を持っています。この特性により、化学装置類や食品工業などの分野で広く使用されています。たとえば、酸やアルカリに対する高い耐性を有しているため、腐食しやすい環境でも長期間にわたって安定して使用可能です。

化学工場では、腐食性の強い化学薬品を扱う設備が多く、これらの環境ではフッ素樹脂が非常に重宝されています。
酸やアルカリだけでなく、有機溶剤や強力な酸化剤にも耐えられるので、反応容器やパイプライン、バルブなどの重要な部分にも使用されているのです。
食品工業でも洗浄や消毒で強い薬品を使用することが多いので、耐薬品性の観点からフッ素樹脂がよく用いられています。

 

 

耐熱性

フッ素樹脂は、260度程度までの高温で連続使用が可能です。そのため、化学装置類やその他高温環境下での使用に適しています。
ただし、この耐熱温度は圧力がかからない状況下での数値です。
実際の使用環境では、圧力がかかることが多いため、耐熱温度は低くなることに注意が必要です。

化学工場の反応容器や高温蒸気が流れる配管では、フッ素樹脂がよく使われます。これらの設備は高温にさらされることが多く、耐熱性が求められるためフッ素樹脂が適しているからです。

 

 

低摩擦係数

フッ素樹脂は、あらゆる固体の中で最も摩擦係数が小さいという特性を持っています。そのため、摩擦摺動部品として多くの用途で使用されています。摩擦によって相手材に移着し始め、定常化するとPTFE同士の摩擦となり、非常に低い摩擦が維持されるのです。
しかし、PTFE単体では摩耗が大きいので、実用的にはガラス繊維などの充填材入りの材料が使用されています。

特に建築関係で最近、耐震用途などに使うという趣旨のお問い合わせがあります。
このような場合、橋梁などの建造物・配管の伸縮への対策としてテフロン(R)を利用したスベリ支承板であるニチアスのT9017『ナフロンスライディングパット』や日本ピラー工業の『ピラーフロロゴールド』、『ピラーユニトン支承』などをお勧めしています。
相当品の日本バルカー工業の『ロードフロン』は生産終了しました。金属プレートに充填材入りテフロン(R)を貼ったもので、テフロン面を合わせる形で2枚一組で使います。

 

 

非粘着性

フッ素樹脂のもう一つの重要な特性は、その非粘着性です。家庭用のフライパンでよく見られるように、表面にコーティングを施すことで、食品がこびりつかない調理器具を実現可能です。
また、接着して使いたい場合には、エッチング処理(接着処理)を行うことで接着が可能になります。一時的な用途であれば、両面テープ(例えばニットー500)でも十分な接着力が得られます。

家庭用フライパンの他には、製品の成形型にフッ素樹脂コーティングを施すことで、製品の取り外しを容易にし効率を上げることが可能です。
また、電子機器の組み立て時にフッ素樹脂のフィルムを使うことで、部品が粘着せずにスムーズに動く環境を作れます。これによって、生産効率の向上と製品の品質保持が可能となるのです。

3.フッ素樹脂の種類と用途

3.フッ素樹脂の種類と用途

フッ素樹脂には、PTFEのほかにPFAやFEPなどがあります。それぞれの樹脂は独自の特性を持っており、用途に応じて使い分けられています。
 

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

PTFEは、最も一般的なフッ素樹脂です。その優れた耐薬品性、耐熱性、低摩擦係数から、さまざまな分野で広く使用されています。代表的なのが、化学装置の部品、食品工業の器具、建築材料などでの利用です。
特に、摺動部品としての利用が多く、ガラス繊維などの充填材を加えることで耐摩耗性が向上し、実用性が高まります。
 

 

PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)

PFAは、PTFEと同様に高い耐薬品性と耐熱性を持っていますが、さらに粘着しにくいという特性を持っています。
耐薬品性が高いことから医薬品のボトルやビーカーなどに使わているほか、半導体製造装置でも積極的に利用されています。
 

 

FEP(パーフルオロエチレン-プロペンコポリマー)

FEPは流動性があり成形性に優れたフッ素樹脂で半透明の素材です。
PTFEの融点は300℃を超えているのに対して、FEPは260℃程度なので、より低い温度での成形が可能です。それでいて、PFAなどと同等の耐薬品性を有し、PTFEと同等以上の引張強さ、ショア硬さ、絶縁性があります。
 

 

その他のフッ素樹脂

フッ素樹脂には、他にもETFE(エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー)やPVDF(ポリビニリデンフルオライド)などがあります。
ETFEは溶媒に溶ける性質を利用してコーティング剤として使われています。PVDFは機械的強度と加工性に優れた素材で、バルブ、キャップ、パイプ、フィルムシートなどで利用されています。
 

 

4.弊社の業務

弊社では素材メーカーから素材を購入し、各種加工・成形を行っています。ある程度の在庫を持ち、素材の販売・切り売りも行っていますが、素材メーカーではありません。
加工方法としては、ビク型等による板材からの裁断加工、丸棒やパイプからの切削加工が主です。
 

 

5. 参考図書

このサイトをご覧になって、テフロン(R)のカタログの請求をされる方がいらっしゃいます。詳しく趣旨をお聞きすると、テフロン(R)というものがなんだかよくわからないから勉強したいという旨の場合がほとんどです。
素材メーカーのカタログはあるにはありますが、カラフルな写真と簡単な用途の紹介、物性表と寸法表が載っている程度で、お客様の趣旨にはそぐわない場合が多いように思います。

自動車のカタログをいくら熟読したところで、運転が出来るようにはなりません。むしろ書店で入手可能な書籍などの方が参考になる場合も多いようです。
参考までに数冊ご紹介させていただきます。もちろん、もう少し踏み込んだ内容のお問い合わせは遠慮なくどうぞ。

●『プラスティック読本』㈱プラスティック・エージ
●『初歩のプラスチック』三光出版社
●『やさしいエンジニアリングプラスチック』三光出版社
●『バルカーハンドブック』日本バルカー工業株式会社(一般には入手しにくいです)
※日本バルカー工業㈱サイトでダウンロードできます。(VALQUA HAND BOOK PDF判 2007.7 技術編P474)

まとめ

まとめ

フッ素樹脂はその優れた特性から、さまざまな用途で利用されています。
たとえば、耐薬品性、耐熱性、低摩擦係数、非粘着性などの特性を活かして、化学装置や食品工業、建築分野などで幅広く使用されています。

昭和8年創業の加工のプロである株式会社東京機革は、これまで多数のフッ素樹脂の加工をしてきた実績があります。

東京機革なら短納期・小ロットであっても可能な限り対応してまいりますので、フッ素樹脂の加工先をお探しのお客様は、
電話(03-2623-0111)、FAX(03-3621-1923)、
または以下のお問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。加工のプロが最適なご提案をいたします。

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